農業共済新聞
高値取引、今年は増産 特産ヤマノイモ「銀沫」
良品出荷へ意気込み共有 飲食・土産物店がプロジェクト
(平成30年11月3週号 トップ)
【岡山支局】真庭市勝山地区の特産ヤマノイモ「銀沫(ぎんしぶき)」の出荷が、11月1日から始まった。本年度は「かつやまのいも生産組合」の農家34戸が1.7㌶で栽培。前年度より1㌧多い10㌧収穫を目指している。
同地区のヤマノイモは、滋賀県旧秦荘町(現愛荘町)から「秦荘のやまいも」を譲り受け、1993年ごろに旧勝山町の特産品作りの一環として栽培を始めた。
2004年には、かつやまのいも生産組合を設立。ヤマノイモの名前を公募したところ、地元の名瀑「神庭の滝」から飛び舞う銀白が畑に降り注ぎヤマノイモとなったイメージで銀沫に決まった。
銀沫をすりおろすと、すり鉢を逆さにしても落ちないほどの強い粘り、餅のような弾力、あくが少なく、時間が経過しても白色から変色しにくいなどの特長がある。
昨年度の売り上げは目標の1千万円を超え1100万円に達した。同組合の綱島孝晴組合長(64)は「皆さまのお手元に届くよう、たくさん出荷していきたい」と、栽培拡大に意欲的だ。
先般開催した栽培講習会では、「出荷するときに傷を付けないように」と組合員に周知し、良いものを出荷していくという意気込みを共有した。
銀沫が高値で取引されていることもあり、定年を機に本年度から5㌃で栽培を始めた中多賀夫(なかたかお)さん(61)は、初収穫した銀沫について、「最高においしい。通常のヤマノイモと違って粘りがあって良い」と話す。
一方で、「大きくて形の良いものを作ることが一番難しい。しかし、大きすぎても良くない」と、形を整える難しさを強調する。
同地区では、4年前から飲食店や土産物店で銀沫を使った料理(とろろうどんなど)の提供・販売を行う「銀沫プロジェクト」を、勝山観光協会物販飲食店部会が担っている。
銀沫プロジェクトの代表を務める宮本茂さんは「ぜひ勝山地区に足を運んでいただき、店を巡りながら銀沫を買って、料理を食べてほしい」と話す。
(花房)