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営業マンから転身 トマトに活路

受け入れ能勢充実で決意 品質向上・規模拡大目指す

(平成30年9月4週号 トップ)


 【岡山支局】「できるときに自分のやりたいことをしなければ」と、営業マンから農業に転身した白石慎也さん(38)。現在、高梁市備中町西油野で、ハウス12㌃のトマト栽培に妻と2人で挑戦中だ。収量の確保や品質向上、規模拡大を目指している。
 大学卒業後、倉敷市内の建築資材販売会社で営業マンとして働いていた白石さんは、これまで農業とはほとんど縁がなかった。大好きなトマトの栽培についてホームページで検索したところ、高梁市内で開催される新規就農希望者向けのイベントの情報が目に入り参加した。
 先輩農家から経営状況を聞き、「農業経営は不安定というイメージだが、トマト栽培はそうでもない」と感じた。先輩農家をはじめとする地域の受け入れ態勢が充実していたため、この地での就農を決意した。   
 イベントをきっかけに交流が始まった先輩農家の山田徹さんのもとで、2017年春から実務研修を開始し、本格的な営農活動をスタートさせた。
 研修初期は、基本技術をしっかり教えてもらったものの、栽培ノウハウは教えてもらえなかった。
 栽培ノウハウは、栽培者や圃場に合ったやり方と経験を積み重ねていくもの。地域のグループで視察に行くと、ベテランの農家が若手の栽培方法をメモに取るなど、どん欲に技術向上を追求していた。今思えば研修当時の対応に納得したという。
 新規就農のため、圃場の整備に苦労した。経費節約のため、廃業農家のハウスを譲ってもらったが、夫婦二人で解体し移設するのに1年近くかかった。「圃場の排水施設の整備では多くの地元の人に手伝ってもらい、感謝しています」と白石さん。
 今年の春に独り立ちしたが、猛暑や渇水で実割れが発生、収量は想定より少なく厳しい状況となった。これにめげず、来年は10㌃、再来年には7㌃規模の拡大を計画しているという。
 「規模拡大を進めるには、今年の経験をもとに、作業効率を向上させ、早朝の作業を増やすなど、時間の使い方を検討したい。先輩農家に助言をもらいながら、自分なりの栽培ノウハウを追求し、品質の向上にも努めたい」と話している。
(竹浪)