農業共済新聞
リンドウ 産地担う一翼に
家族の助けに支えられ
(平成28年8月2週号 トップ)
新庄村の前田美子さんは、リンドウの栽培に取り組んで21年になる。岡山県北を中心に栽培されているリンドウ。中でも、同村で栽培されたものは品質が良いと評判で、同村は産地として定着している。
同村にUターンした夫とともに、都会から同村へ移住した美子さんは、1995年からリンドウ栽培に取り組み21年になる。嫁ぎ先は農家だが、それまで農業とは無縁だったという。
移住したとき、新庄村では農業改良普及センターの指導を仰ぎながら寒冷地に適したリンドウ栽培に取り組み始めたところだった。「気軽に取り組める農業」と言われ講習を受講。早速栽培を始めたという。美子さんは「今思えば、それが人生の一つの転機。まさか自分が農業に取り組むとは想像すらしていなかった」と笑顔で話す。
前田さん方では今年、約7.5㌃の圃場で5600本程度を定植。7月上旬から11月上旬にかけて約2万本程度が収穫できる見込みだ。普段は美子さんが中心となって作業を行っているが、草取りは義母、週1回の消毒は夫、収穫後の選別には娘夫妻が行うなど、家族の手助けがあって経営が成り立っている。
認定農業士として活躍
移住した当時は村内9世帯が栽培に取り組んでいたが、高齢化が進み、現在では6世帯となった。そのため、美子さんは同村花き生産組合の副会長を務め、後継者育成にも力を注いでいる。また、認定農業士の資格も取得。品質向上に取り組んでいる。
2006年からは、同村の「ふるさと小包」の特産品にリンドウが入っており、「季節を感じる品だ」と購入者から好評を得ている。同村の花き担当者は「新庄村のリンドウは、冷涼な気候を生かして色鮮やかで、日持ちも良いと好評。新庄村を県北一のリンドウの産地にしたい」と意気込む。
美子さんは「リンドウ栽培は決して楽な作業ではない。でもどんな人が買ってくれて、どんな場所に飾って楽しんでくれるのかなと考えると、一本一本が、いとおしく作業にも力が入る」と今日も圃場で汗を流す。