農業共済新聞
【連載 えがお満開】野菜を多品種少量生産
本来の味を知ってほしい 岡山県矢掛町 田淵亜希子さん
(平成29年2月4週号 連載)
矢掛町で農作物の栽培から販売まで行っています。3年前、結婚を機に主人の住む矢掛町に移り、一緒に農業を始めました。それまで農業とは関係のない職業に就いていました。
農業を始めた理由は三つあります。一つ目は、太陽の下で働きたかったことです。二つ目は、義父が整備したライスセンターを存続していきたいと思ったことです。三つ目は、農作物本来の味をお客さまに伝えたいという思いです。
もともと食いしん坊なので、自分が食べたい安心・安全な無農薬の米や野菜を、一番おいしい時期に食卓に届けたいという思いがあります。農園の名前の「旬家ファーム」はそこから名付けました。種(固定種に限る)、地元の水と土、日光と良い条件のそろった農作物を育て、「量より質」をモットーに、多品種少量生産で90種類の野菜を栽培しています。
矢掛商店街にあるお宅の土間を借り、栽培した農作物を販売する「あおもん」をオープンしました。野菜は土付き、葉付きのまま、サイズにこだわらない量り売りで販売しています。
野菜本来の姿と味を知ってもらうため、お客さまが農作業を手伝う代わりに値引きを行う「ワークサポーター」制度を導入しました。また、自分たちの酒米(雄町)を提供する酒造会社と相互に業務を手伝うことで、生産者と業者とのギャップを縮めるなど、新たな取り組みを行っています。ただ、それらは昔の人がやっていたことを現代でやっているだけなのでしょうね。今後はしょうゆ作り、漬物、果樹栽培と、やってみたいことのアイデアが尽きません。